2013年1月22日火曜日

ダカール・ラリー5勝のC.デプレとKTM450Rally

ダカール史上3人目の5勝を挙げたC.デプレ
ベテランらしい走りとラリー展開で中盤からラリーをリードしたデプレ
2位に入ったサポート役のR.ファリア

年が明けると恒例のダカールラリーがスタートする。治安悪化によって北アフリカの砂漠でのラリーが出来なくなったパリ・ダカール・ラリーは、2009年から、経済成長が著しい南米の地での開催となるが、ブランドとなったダカールの名を冠して今年も開催された。

とりわけ、オフロードバイクの人気が高まりを見せる地域での開催だけに、ここでのダカール・ラリーは、バイクメーカーにとっても意味深いものとなる。2000年の参戦以来、ライバル不在のままこのラリーをリードしてきたKTMは、今年もKTM RedBullラリー・ファクトリー・チームを頂点として数多くのサポートチームを擁して盤石の体制でこのラリーに臨んだ。

一方、注目のHonda、チームHRCは将来的な市販を前提としたパーツで構成されたCRF450Rally5名のライダーでの参戦予定であった。しかし、テスト中に2名のライダーが負傷してダカールには、3名の体制で臨むことになる。マシン的にも完成域に達したかは不明だが、チーム体制も含めて分が悪い参戦となった。

ラリー・レイドほど、偶然や幸運からほど遠い競技はないのではないだろうか。長期間の競技は、関わるすべての準備が完璧であっても、広大な自然が舞台であるために完全はありえない。スタート時点でマシン、ライダー、チームが完全でもその先は見えない。逆に言えば、スタート時点で少しでも不安やマイナス要素があったら勝つことはまず難しい。

優れたライディングテクニックと、計器がなくても方位を理解し、見えない砂丘の裏側も経験と気象学の知識で状況を読み取る高いナビゲーション能を持つトップライダーと、性能だけでけでなく、メンテナンス性までが機能として備わったマシン、優れたクルー達によってのみ頂点が見えてくる競技でもある。

そうした意味で、今年のダカール・ラリーのKMTファクトリー・チームは完全だった。初日のSS5位からスタートしたエースでありベテランのC.デプレ(フランス)は、3日めに総合順位でトップに立つが、結局、全14SSで、わずか2回しかトップタイムを記録しないにも関わらず、そのまま総合優勝してしまう。さらに、2位には、デプレのウォーターポーター、つまりはサポート役のR.ファリア(ポルトガル)が入って、KMT1,2フィニッシュを成し遂げる。

2シーズン目のKTM450Rallyは、一層熟成されてこのラリーを制覇した。KTMらしい車体デザインはラリーファンならずとも認める機能性と格好良さを持っている。半乾燥で車重は145kg

詳細は明らかではないが、KYM独自のクロムモリブデン鋼管のトレリスフレーム、97×60.8mmの超ショートストロークの450ccエンジンは専用設計。

ラリーバイクでは当たり前の大容量35Lの燃料を、フロントに2分割で23L、リヤはサブフレームレスの樹脂タンク12Lに分けて搭載する。低重心化とマスの集中化、さらに、燃料が満タン時と減っていく過程での繰安に、最も有利なレイアウトである。

また、走行中の砂埃から最も遠いエンジン上にエアークリーナーを配置するのも当然ながら特長的。因みにこうしたタンクシステム、エアクリーナーの配置は80年代後半にはHondaYamahaも採用していたラリーバイクとしてはコンベンショナルスタンダード。

以下が、公開されているスペックである。

今後のKTMの動向、Honda2年目の活動と、今から、来年のダカール・ラリーが待ち遠しい。
(モリ ヒサシ)
*画像はクリックすると拡大されます。

KTM 450 Rally 
ENGINE Engine Type: Single cylinder, 4-stroke
Displacement: 449 cc
Bore x Stroke: 97 / 60.8 mm
Starter / Battery: Electric starter / 12 V 8.6 Ah
Transmission: 5 gears
Carburetor: Keihin FCR-MX 41
Control: 4V / DOHC with roller rockers levers
Lubrication: Pressure lubrication with 3 oil pumps
Clutch: Wet multi-disc clutch Hinson, operated hydraulic
Ignition: Keihin DC ECU 
CHASSIS Frame: Chromium molybdenum
Subframe: Self-supporting plastic tank 12 litres
Front suspension: WP USD 48 mm
Rear suspension: WP Monoshock with Pro-Lever linkage
Suspension travel front/rear: 300 / 310 mm
Brakes front/rear: Disc brakes 300 / 240 mm
Rims front/rear: 1.6 x 21 / 2.50 x 18
Seat height (unloaded): 980 mm
Fuel capacity: approx. 35 litres

Weight: approx. 145 kg (without fuel)  





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