2013年1月29日火曜日

Honda次世代スポーツの新型400ccエンジン発表


Hondaは、128日、昨年秋のミラノショーで発表したCBR500RCB500FCB500Xの国内モデルに搭載予定のスポーツエンジンを発表した。

 このエンジンは、国内のFunモデルの充実と活性化を狙って今シーズン投入予定のニューシリーズに搭載予定で、次世代を見据えた、ス ポーティーかつ扱いやすく、同時に高品位でベーシックであることが特長。

*次世代の環境対応型の水冷400ccエ ンジンとは?
*ユーザーに満足を得られる扱いやすい400ccスポーツバイクエンジンの出力特性とは?
*走りをささえる軽量・コンパクトでありながら高品位な400ccエンジ ンとは?
上記の3つのテーマを念頭に、エンジンの経済性や扱いやすさ、軽快かつスポー ティーなライディングを実現する出力特性を目指し、低・中即回転域はもとより、高回転域にいたるまでスムーズに回る、軽量、コンパクトな国内専用の400ccエンジンとして開発されている。

エンジン特性は、エントリーユーザー にも扱いやすいように、最も使用頻度の高い、低・中速回転域の特性を重視、最高出力回転数を9500rpmと し、このエンジン特性の適した水冷・直列2気筒エンジンを選択、全域で最適な吸入効率 を高めるため、最適なバルブサイズ等を選定、ボアストロークは67×56.6mmを採用。


スポーツバイク用エンジンとしての 基本性能を十分に満たした上で、より高い環境性能を目標とし、バルブ周りの軽量化、バルブ挟み角、ポート形状、燃焼室形状選択の自由度の高いDOHCを採用する一方、ローラーロッカーアーム、低過重のバルブスプリング、サイレントカムチェーン 等の採用や、油膜保持特性を高めた軽量ピストンや特殊処理を施したコンロッドの採用で、フリクション低減による高い燃費性能を狙い、加えて、シリンダーヘッドにAIシステム(二次空気導入システム)をビルトイン、エキゾーストパイプ内にO2センサー、キャタライザーを装備することで厳しい国内の排ガス規制をクリアしている。

さらに、高品位なエンジンを目指して、軽 量・コンパクト化が進められ、バランサーの採用と配置の見直し等で振動の低減や静粛性の向上が行われている。一方で、外観は力強い造形とされて存在感を演出。ビッグバイク同様のヘッドカバーサイドキャップや、カバー類の締め付けにソケットボルトを採用すると言ったデティールへのこだわりで高品位であることを表現している。

 また、ミッション周りのレイアウト、バランサーシステムの配置にも気を配り、エンジンを全長を抑えたことにより、車体の中で最も重いエンジンを搭載する位置を最適化しやすいものとして、優れた操縦安定性に寄与することを狙ったエンジンであることも大きな特長である。

Hondaは、永く、ベストセラーである4気筒エンジンを搭載するCB400シリーズに加えて、 このエンジンを搭載するシリーズの市場投入し、一気により多くの中型免許ユーザーの獲得を加速させる。(モリ ヒサシ)



吸排気の高効率化を狙い細軸ステムの大径吸排気バルブ、ストレート化された吸気ポートを採用。ローラーロッカーアーム、シムタイプのタペット調整方式、低過重のバルブスプリングの採用でフリクション低減を狙う。
ピンにバナジウム表面処理を施したサイレントチェーンを採用してフリクション低減と防塵性に対応。
180°位相クランクを採用したクランクケースは、トランスミッション室との隔壁をなくしポンピングロスを低減する。シリンダーは薄肉スリーブを採用、ボア間を7mmとしてエンジンのコンパクト化を行う。
シリンダー背面にカップルバランサーを配置。ミッションのメインシャフトを後方に置いてエンジン前後長を抑えている。
コンピュータ支援エンジニアリングにより、高効率な冷却水の流動解析が行われ、小型・軽量化されたウォーターポンプ。

67mmのCBR600RRと同サイズのボアを持つピストン。剛性強度バランスの最適化が行われ、スカート部に粗条痕をつけて油膜保持性を向上させフリクション低減を狙う。

*各画像はクリックすることによって拡大表示されます。




2013年1月23日水曜日

「SR400」 35th Anniversary Editionが発売される




 2012年度グッドデザイン賞の特別賞である「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」を受賞したYamahaSRの、発売35周年を記念した特別仕様車「SR400 35th Anniversary Edition2013214日より発売となる。

このモデルは、基本車輛の「SR400」をベースに、35周年の歴史を演出するクラシック感あるボディカラー「ダークグレイッシュグリーンメタリック1」(リーフグリーン)、専用ボディ色にあわせたシルバー塗装フレーム、ブラウン系ツートンシート、記念ロゴ入りブラック文字盤メーター、ガソリンタンク側面にゴールドのYAMAHAロゴ、などが採用され、35年ものロングセラーモデルとなった感謝として、535,500円(税込み)の謝恩価格で販売される。なお、20138月末日までの受注期間限定のモデルでもある。

1978年にデビューしたこのモデルは、幅広い年齢のファンから愛され続け、そのシンプルな車体構成、シングルエンジンの排気音や鼓動感、軽快で扱い安い乗り味が人気で、“バイクらしいバイク”とも多くで表現されてきた。

確かに、デビュー以来のSOHCの単気筒エンジンは、このバイクの最大の個性であると同時に、最早、普遍的でさえあり、唯一、燃料噴射のなったのが大きな変化で、キックスターターによる始動方式でさえ、ファンにとっては大きな魅力と言われる。

また、比較的求めやすい車両価格と、シングルエンジンであったため、カスタマイズのベース車両としても、高い人気を保ち続けている。

オフロードモデルのXT500から派生し、2000年には一度生産終了とされながら、2009年には再び日本の市場に戻ってきたこの「SR400」は、Yamahaを代表する個性的なモデルであり、多くの国産モデルの中にあって最も趣味性の高い存在でもある。(モリヒサシ)







SR400主要諸元:
認定形式/原動機打刻形式:EBL-RH03J/H329E
全長×全幅×全高(mm):2,085×750×1,110
軸距(mm):1,410
最低地上高(mm:140
シート高(mm):790
車両重量(kg):174
乗車定員(人):2
最小回転半径(m):2.3
エンジン種類:空冷4ストロークSOHC2バルブ単気筒
総排気量(cm3)399
内径×行程(mm)87.0×67.2
圧縮比:8.5
最高出力(Kw[ps]/rpm):19[26]/6,500
最大トルク(N・m{kgm}/rpm):29[2.9]/5,500
燃料消費率(km/l):41.060km/h定地走行テスト値)
燃料供給装置形式:フューエルインジェクション
始動方式:キック式
点火装置形式:TCI(トランジスタ式)
潤滑方式:強制圧送ドライサンプ
燃料タンク容量(L:12
クラッチ形式:湿式多板
変速機形式:常時噛合式5段リターン
変速比:12.357  21.555  31.190  40.916  50.777
減速比(1/2次):2.566/2.947
キャスター(度)/トレール(mm27°40/ 111
タイヤサイズ:(前)90/100-18M/C54S(後)110/90-18M/C61S(前後チューブタイプ)
ブレーキ形式:(前)油圧式シングルディスク(後)機械式リーディング・トレーリング
懸架方式:(前)テレスコピック式(後)スイングアーム式
フレーム形式:セミダブルクレードル
メーカー希望小売価格:535,500(消費税込み)
*画像はクリックすると拡大表示されます。





2013年1月22日火曜日

ダカール・ラリー5勝のC.デプレとKTM450Rally

ダカール史上3人目の5勝を挙げたC.デプレ
ベテランらしい走りとラリー展開で中盤からラリーをリードしたデプレ
2位に入ったサポート役のR.ファリア

年が明けると恒例のダカールラリーがスタートする。治安悪化によって北アフリカの砂漠でのラリーが出来なくなったパリ・ダカール・ラリーは、2009年から、経済成長が著しい南米の地での開催となるが、ブランドとなったダカールの名を冠して今年も開催された。

とりわけ、オフロードバイクの人気が高まりを見せる地域での開催だけに、ここでのダカール・ラリーは、バイクメーカーにとっても意味深いものとなる。2000年の参戦以来、ライバル不在のままこのラリーをリードしてきたKTMは、今年もKTM RedBullラリー・ファクトリー・チームを頂点として数多くのサポートチームを擁して盤石の体制でこのラリーに臨んだ。

一方、注目のHonda、チームHRCは将来的な市販を前提としたパーツで構成されたCRF450Rally5名のライダーでの参戦予定であった。しかし、テスト中に2名のライダーが負傷してダカールには、3名の体制で臨むことになる。マシン的にも完成域に達したかは不明だが、チーム体制も含めて分が悪い参戦となった。

ラリー・レイドほど、偶然や幸運からほど遠い競技はないのではないだろうか。長期間の競技は、関わるすべての準備が完璧であっても、広大な自然が舞台であるために完全はありえない。スタート時点でマシン、ライダー、チームが完全でもその先は見えない。逆に言えば、スタート時点で少しでも不安やマイナス要素があったら勝つことはまず難しい。

優れたライディングテクニックと、計器がなくても方位を理解し、見えない砂丘の裏側も経験と気象学の知識で状況を読み取る高いナビゲーション能を持つトップライダーと、性能だけでけでなく、メンテナンス性までが機能として備わったマシン、優れたクルー達によってのみ頂点が見えてくる競技でもある。

そうした意味で、今年のダカール・ラリーのKMTファクトリー・チームは完全だった。初日のSS5位からスタートしたエースでありベテランのC.デプレ(フランス)は、3日めに総合順位でトップに立つが、結局、全14SSで、わずか2回しかトップタイムを記録しないにも関わらず、そのまま総合優勝してしまう。さらに、2位には、デプレのウォーターポーター、つまりはサポート役のR.ファリア(ポルトガル)が入って、KMT1,2フィニッシュを成し遂げる。

2シーズン目のKTM450Rallyは、一層熟成されてこのラリーを制覇した。KTMらしい車体デザインはラリーファンならずとも認める機能性と格好良さを持っている。半乾燥で車重は145kg

詳細は明らかではないが、KYM独自のクロムモリブデン鋼管のトレリスフレーム、97×60.8mmの超ショートストロークの450ccエンジンは専用設計。

ラリーバイクでは当たり前の大容量35Lの燃料を、フロントに2分割で23L、リヤはサブフレームレスの樹脂タンク12Lに分けて搭載する。低重心化とマスの集中化、さらに、燃料が満タン時と減っていく過程での繰安に、最も有利なレイアウトである。

また、走行中の砂埃から最も遠いエンジン上にエアークリーナーを配置するのも当然ながら特長的。因みにこうしたタンクシステム、エアクリーナーの配置は80年代後半にはHondaYamahaも採用していたラリーバイクとしてはコンベンショナルスタンダード。

以下が、公開されているスペックである。

今後のKTMの動向、Honda2年目の活動と、今から、来年のダカール・ラリーが待ち遠しい。
(モリ ヒサシ)
*画像はクリックすると拡大されます。

KTM 450 Rally 
ENGINE Engine Type: Single cylinder, 4-stroke
Displacement: 449 cc
Bore x Stroke: 97 / 60.8 mm
Starter / Battery: Electric starter / 12 V 8.6 Ah
Transmission: 5 gears
Carburetor: Keihin FCR-MX 41
Control: 4V / DOHC with roller rockers levers
Lubrication: Pressure lubrication with 3 oil pumps
Clutch: Wet multi-disc clutch Hinson, operated hydraulic
Ignition: Keihin DC ECU 
CHASSIS Frame: Chromium molybdenum
Subframe: Self-supporting plastic tank 12 litres
Front suspension: WP USD 48 mm
Rear suspension: WP Monoshock with Pro-Lever linkage
Suspension travel front/rear: 300 / 310 mm
Brakes front/rear: Disc brakes 300 / 240 mm
Rims front/rear: 1.6 x 21 / 2.50 x 18
Seat height (unloaded): 980 mm
Fuel capacity: approx. 35 litres

Weight: approx. 145 kg (without fuel)