PCXのそれよりさらに徹底して低フリクション化が進められた次世代の125ccグローバルスタンダードエンジン。
去る9月26日、Hondaが2機種の新たなグローバルモデル用低燃費エンジンを発表した。1機種は、小型スクーター用の排気量125cc水冷4ストローク単気筒エンジンで、もう1機種はミドルクラス用の排気量700cc、水冷4ストローク直列2気筒エンジンである。
次世代125ccスクーター用エンジンは、先進の二輪車用アイドリングストップ・システムを搭載し、さらなる耐久性・静粛性と燃費性能を高めた次世代125ccスクーター用エンジンで、さらに軽量・コンパクト化を図るとともに、低フリクション技術を多岐にわたって採用し、燃費性能は、同排気量のスクーター用エンジンと比較して約25%の向上を実現している。
この新型エンジン開発の狙いは、世界各国でコミューターとして利用されている125ccスクーターのエンジン性能と低燃費性能をさらに高めることで、グローバル規模でCO2の排出量を低減すると同時に、高い利便性とより上質で魅力的な商品を提供することを目指したもの。
開発にあたっては、実用性を重視した力強い出力特性と耐久性のさらなる向上、次世代のグローバルスタンダード・エンジンにふさわしい燃費性能、グローバルモデルへの採用により地球規模でのCO2の低減に寄与、求めやすい価格の実現、をテーマにして取り組んだとされる。
低燃費を実現するため、オフセットシリンダーやローラーロッカーアームなどの低フリクション技術はもとより、知能化された発電制御による発電時のフリクション低減や、ロッカーアームシャフトにシェル型ニードルベアリングを初採用するなど、多岐にわたって徹底的に低フリクション化が図られた国内でも人気のPCXのエンジンの進化型といえるもの。
また、何通りかのホイールサイズにも対応できるよう設計されていることも特徴で、より多くのモデルに採用できることでローコスト化をさらに進めることができるのも大きな特徴となっている。世界一のコミューターメーカーであるHondaが、次世代を担うエンジンと言えそうだ。
高い耐久性、静粛性はもとより、軽量・コンパクト化を多岐にわたる低フリクション技術の採用で同排気量エンジンより約25%の燃費性能の向上が実現されている。
ミドルクラスのグローバルエンジンは62°の前傾シリンダーの水冷OHC直列2気筒エンジンは、270°位相クランクによる不等間隔爆発、1軸1次バランサーの採用などで個性と独特のエンジン特性と性能をもつ。さらに73×80mmのロングストロークであることも一層特徴的。低中速回転域での扱いやすさと力強い走りが達成されている。
ミドルクラスに向けた新型の700ccエンジンは、低・中速域で力強いトルク特性と低燃費で優れた環境性能の両立を狙って開発され、 コンセプトの異なる3モデルに搭載されて、11月にイタリアのミラノで開催されるEICMA2011(ミラノショー)に出品が予定されている。
このエンジンは、市街地走行やツーリングなどの常用域ではトルクフルで扱いやすく、スポーティーな走行では心地よい鼓動感を体感できるエンジン特性で、かつ次世代のミドルクラスエンジンにふさわしい低燃費で優れた環境性能を備え、車体レイアウトの自由度に貢献して利便性の高いスペースを作り出せる軽量でコンパクトな設計であることを狙って開発された。
その結果、欧州地域で広く支持されているミドルクラス(排気量500cc~750cc程度の欧米における中型車)に適合する水冷・4ストローク・直列2気筒700ccで、燃費性能は、ミドルクラス最高の27km/L以上で、同クラスのスポーツモデルと比較して40%以上の向上を実現しているとされる。
また、この新型エンジンに組み合わせるトランスミッションとして、新開発の軽量・コンパクトでスムーズかつダイレクト感のある伝達効率に優れたの第二世代デュアル・クラッチ・トランスミッションと、6速マニュアルミッションとあわせて2タイプが設定されている。
これまでの、高回転高出力のハイパフォーマンスエンジンとは一線を画したこのエンジンと、それを搭載する新世代のこの新たなジャンルのグローバルモデルの仕上がりが大変興味深い。
走る楽しさとコミューター要素の両立を狙って採用された第2世代のデュアル・クラッチ・トランスミッション。軽量・コンパクト化に加え学習機能も付加され、燃費もマニュアルミッション仕様とう同等とされた。その仕上がりに大いに期待したいところ。
11月のミラノショー(EICMA)に出品予定のINTEGRA(用品装備車)。初お目見えから4年の月日が流れた。